第1926号 会長の時間

横山文夫会長 皆さんこんばんは。長かった連休も終わりましたが、どのようにお過ごしでしたか。私は連休の前半4月28日には、名古屋の庄内緑地公園で今シーズン最後のハーフマラソンを走りました。連休後半は、高速道路を走って四国の石鎚山と兵庫県の永ノ山に登ってきました。石鎚山へ行く途中で、徳島市へ立ち寄り、阿波十郎兵庫屋敷で「傾城阿波の鳴門」という阿波人形浄瑠璃の一部を見てきました。阿波人形浄瑠璃は、義太夫節の浄瑠璃と、太棹の三味線、3人遣いの人形の三者によって演じられる人形芝居です。徳島では農村舞台や小屋掛けによる屋外での開催が多かったことから、文楽と比べて一回り大きな光沢のある塗りの人形を使って、「阿波の手」と呼ばれる大きな振りで演じられます。皆さんも徳島へ立ち寄られる機会があったら阿波人形浄瑠璃を観劇されることをお勧めします。
さて私が会長をさせて頂くのもあと1ヶ月半余りとなりました。昨日ガバナー月信の「1年を振り返って」という原稿を書きながら、1年間何をしてきて、何が足りなかったのか考えていました。本日配布した冊子「加納のまち」の発刊が実現して、その配布普及があります。今年度の主要な事業や業務は、不十分な取り組みもありましたが、ほとんど終わりました。皆さんのご協力に深く感謝します。
既に野田次期会長年度の準備が着々と進められていますが、あと1ヵ月半、野田次期会長に円滑にバトンタッチすることに意を尽くしていきたいと思っています。
あと1ヵ月半余りですが皆さんのご理解とご協力を得て、充実したクラブ運営をしていきたいと考えていますので、宜しくお願いします。

第1926号 卓話

川瀬幸彦S.A.A.川瀬幸彦S.A.A.

本日は栗本会員にお願いしました。栗本会員はスポーツ観戦が趣味でスポーツ全般に詳しいのですが、特にアマチュア野球に関してマニア的に詳しいです。甲子園球場にも毎年行っていまして、ラガーさんの隣で見ているというようなことも聞いています。栗本さんの息子さんは2人いらっしゃいますが長男は今は身長が183cmと伸び、県岐阜商業の野球部に入られているそうです。県岐阜商業の監督となった鍛治舎さんからキャッチャーにコンバートされたということで、日々、甲子園に向けて頑張っていらっしゃるとのことです。
本日は高校野球についてお話頂けるということです。それでは栗本さん宜しくお願い致します。

栗本隆治会員『甲子園の歩き方』
栗本隆治会員

皆さんこんばんは。実は私は今期2回目の卓話になります。前回は昨年の10月6日に歴史記録委員会の卓話で『ジュニア世代のスポーツ育成に携わって』というテーマで、自分が経験してきた小中学生の野球の指導の現場や活動の実態などについてお話させて頂きました。その中での親の関わり方の問題であるとかそういったお話をさせて頂き最後に少し岐阜県の高校野球の問題点である選手の流出について時間の関係もあり少しだけお話をさせて頂きました。
その卓話が終わって直ぐにS.A.A.の川瀬委員長から5月のS.A.A.の卓話の依頼がありました。テーマは前回の卓話の野球の部分を掘り下げて、ズバリ野球をテーマに、という依頼でした。正直同じ期に2回卓話をするのはどうなんだろうとか、しかも野球なんて興味のない方も見えるであろうテーマでいいのかと考えましたが川瀬委員長の責任は私がとるので是非にということでしたのでさせて頂くことになりました。皆さんにとって興味のあるお話が出来るかどうかはわかりませんがどうぞ宜しくお願い致します。
野球といってもカテゴリーがたくさんあります。少年野球、中学軟式野球、硬式野球、高校野球、大学野球、社会人野球、プロ野球、メジャーリーグ。どこの話をしようかなと思ったのですが、卓話の時間持たせるとしたら、やはり王道の高校野球がいいなと思いまして、高校野球にしました。次に卓話の表題を考えました。候補として挙げたのは『高校野球最強チームはいつのどのチームか』このテーマで私の思う最強チームと世間一般で言われる最強チームの比較と検証をするか、もしくは『甲子園に魔物はいるのか?』このテーマであれば過去の大逆転試合の検証が出来るなとか、『甲子園のベストゲーム』というテーマで私の好きな試合や世間が選ぶベストゲームの検証をするとかいろいろ考えたのですが、今年の夏の選手権は第100回記念大会です。という事でその記念大会を楽しめるようなお話をしようと思いまして、旅行ガイドブックの『地球の歩き方』にかけて高校野球ガイドブックのようなテーマ『甲子園の歩き方』というテーマにしました。高校野球の今大会のガイドブックになるようなお話が出来ればと思います。
今年100回目を迎える夏の選手権ですが、正直甲子園は、特に夏はいつ行っても満員です。私はほぼほぼ毎年行っていますが、特に土日やお盆休みなどは、朝4:30頃にはチケット売り場は長蛇の列です。このチケットを買い逃すと第1試合終了の入れ替え時に販売するわずかなチケットの為に第1試合が終了するまで並ぶか、入場無料の外野に行くかの選択になります。私は必ずリスクヘッジのために僕がチケット売り場に並んで嫁が外野の入場口に並ぶようにしています。チケットが売り切れてから外野に向かうとみんな外野に行くので、外野もすぐ一杯になります。すると、外野はアナウンスでレフト側に入り口から入場下さいと言われ係員に誘導されるがままに進むとライト側の入場口から外に出されてしまうという悲惨な状況が待っています。
しかしこの状況も今年は変わります。それは全てのチケットがかなり値上げされるのですが、なんと無料だった外野席が有料になります。大人500円、小人100円です。なので外野もチケットを求めて並ばなければならなくなりました。新しいリスクヘッジを考えないといけませんね。
私と高校野球の出会いは、はっきり覚えているのは小学校3年生、9歳の時です。昭和53年の夏の高校野球でした。この年の岐阜県の代表は県岐阜商でして、エースが野村隆司投手。そうです下の名前が私と一緒ということもありとても興味を持ちました。その県岐阜商が勝ち上がりましたのですっかり私を虜にしました。
1回戦で京都商業に勝利すると、2回戦ではその年の選抜で準優勝した桐生高校に3-0の完封勝利、3回戦では1年生エース愛甲(プロ野球ロッテ、中日)揚する横浜高校にも3-0の完封勝利と、エース野村投手の大活躍でベスト8に進出、横浜高校はこの2年後に愛甲投手の活躍で優勝しています。そして準々決勝では優勝した、後に広島に入団した西田投手と阪神に入団した木戸捕手を擁するPL学園に1-0で惜敗しますが、大会後西田投手が最も苦しい試合でした。とコメントしたのを数年後の雑誌ナンバーで知りました。
出会いがこんなでしたので、私はすっかり高校野球にのめり込み、それから夏休みの自由課題は毎年高校野球でした。当然そんな研究ではいい点はもらえませんでしたが…。
今年は第100回記念大会です。例年の夏の選手権の出場校数は47都道府県プラス東京都と北海道が2校ですので49代表です。今年は本大会が第100回を記念して従来の北海道と東京の他、98回大会の地方大会で参加校が多かった上位7大会(愛知、神奈川、大阪、千葉、兵庫、埼玉、福岡)を2地区に分け、合計56代表校で実施されます。
実は過去にも一度このように拡大して行われた年がありました。それは第80回大会、今から20年前の大会です。この時は55代表、福岡は2校ではありませんでしたが愛知、神奈川、大阪、千葉、兵庫、埼玉は拡大して2校出場しています。第80回大会は松坂要する横浜高校が優勝しましたが横浜高校は東神奈川代表でした。岐阜県は岐阜城北高校の前身の岐阜三田高校が初出場し、見事1回戦を突破しました。監督は私の高校2年生の時の副担任の太田育夫先生でした。現在は県岐阜商のコーチをされています。お隣の愛知県はこの出場校拡大により2校出場していまして勝ち上がるかと思われた西愛知代表の愛工大名電は1回戦で敗退し、早々に負けるのではと思われていた東愛知代表の豊田大谷がベスト4まで勝ち上がりました。この年の豊田大谷の試合で忘れられないのが2回戦の宇部商業戦の延長15回のサヨナラボークでしょうね。2-2の同点のまま迎えた延長15回裏、豊田大谷は無死満塁のチャンスを迎えました。豊田大谷の次打者のカウント1ボール2ストライクから宇部商・2年生エース藤田修平が211球目を投じようとセットポジションに入り腕を少し前に出したが、キャッチャーの複雑なサイン動作に、藤田は無意識に投球動作を中断して腕を後ろに戻してしまった。この行為を見逃さなかった林球審が「ボーク」を宣告。3時間52分に及んだ試合は甲子園大会史上初の「サヨナラボーク」という呆気ない結末で、豊田大谷高校が延長15回サヨナラで勝利を決めました。この試合には美談がありまして、藤田投手が林主審に返そうとしたボールを「持っておきなさい。そして来年、また甲子園に来なさい」と、林は藤田に手渡した。通常、ウイニングボールは勝利校の主将に渡されるが、勝利校の豊田大谷には別のボールが渡された。また、世間からはまた違った反応もありまして、延長15回を審判は表も裏もさばいている中であのボークの判定をした林主審は素晴らしいという声も上がりました。
この大会も結構いろいろありまして、第80回記念大会ということで開会式直後にジャニーズジュニアのミニコンサートを開いたのですが、そのコンサート目当てに球場に来ていた若い女の子がミニコンサートが終わると一斉に球場を後にしてしまったりとか、1回戦で日大東北の外野手が打球を追いかけて行ってフェンスの下に足が挟まって抜けなくなりランニングホームランになってしまいその足を取るのに10分ほど中断したりとか、先ほどのサヨナラボーク以外にも名勝負が盛りだくさんで特に横浜高校の準々決勝から決勝までの3試合は名勝負で延長17回のPL学園戦、大逆転劇の明徳義塾戦、ノーヒットノーランの京都成章戦と、この大会だけ語っても時間が足りないくらいなので話を戻します。
100回大会は、ちょうど高校3年生の世代が2000年生まれのミレニアム世代です。このミレニアム世代は全体的にレベルが高くて岐阜県も非常にレベルの高い年代でした。この世代のボーイズリーグ岐阜選抜は全国でもトップレベルの愛知選抜や京都選抜にも勝利して、16都道府県の選抜チームが出場した大会で優勝しています。その時の選抜20人中11人が全国に散っていってしまいました。その11人やそれ以外の岐阜出身の選手から既に他県の代表として甲子園に出場した子が8人もいます。
その中でも多分知っている方もたくさん見えると思いますが、特筆すべきは大阪桐蔭のN君だと思います。私が初めてN君のことを知ったのは彼が小学6年生の全日本学童岐阜県大会の時です。とにかく速いボールを投げる子がいると聞いていました。その後、年末に行われるプロ野球12球団ジュニアトーナメントにドラゴンズジュニアに選ばれるとさすがにマスコミも気づいて新聞で大きく取り上げられました。先日この記事を見つけた時にはこれを残しておくなんて私もなかなかのマニアだなと自分でも思いました。N君はジュニアドラゴンズのエースとして活躍。ストレートのMAXは128キロ。他チームをきりきり舞いさせました。
そして中学硬式野球会で大活躍をして大阪桐蔭高校野球部に入部しました。大阪桐蔭に入ってからは私が説明するまでもありませんが、一昨年の秋、本人は1年生の秋から大阪桐蔭の主力として活躍し昨年の選抜では優勝投手になりました。夏の甲子園でも今年の選抜はN君のためにあったかのように投打に活躍し史上初の2年連続選抜優勝投手という離れ業をやってのけました。間違いなく今年のドラフト1位候補だと思います。
では、そのN君要する大阪桐蔭、N君以外にも昨年高校2年生でU18日本代表に選ばれたF君、右のエースK君、左のエースY君、強打の2塁手Y君などドラフト候補選手を5人そろえる大阪桐蔭高校は春夏連覇できるでしょうか?ちなみに大阪桐蔭は昨年も選抜で優勝し、夏は連覇のかかった大会でした。その大会、昨年の夏の高校野球選手権大会はどこが優勝したか皆さん覚えていますか?
昨年の夏の選手権の大会前の優勝候補は、大本命は大阪桐蔭、対抗は鍛治舎監督率いる秀岳館と横浜、その3校を中京大中京、作新学院、前橋育英などが追うと言われていました。しかし、結果は、優勝は埼玉県代表の花咲徳栄高校でした。エースのS投手は中日ドラゴンズにドラフトされ入団しましたね。大阪桐蔭は仙台育英にまさかの1塁手ファーストベース踏み忘れ事件でサヨナラ負けを喫しました。正直、花咲徳栄は上位進出可能性はありましたがまさか優勝するとは思っていませんでした。
何が言いたいかというと大阪桐蔭が連覇するかと聞かれても、予想はとても難しいということです。一昨年だってまさか作新学院が優勝するなんて大会前は誰も思っていなかったでしょうし、しかも決勝まで北海高校が来るなんてさらに思ってなかったでしょう。夏は本当に予想が難しいのです。
おそらく大阪桐蔭が出てくれば大本命であることには間違いありません。ただし、まずは甲子園に出て来ることが出来るかもわかりません。あの大谷選手でさえ3年生の夏は岩手県大会で最速160キロを出しながら、世紀の大誤審でレフトポール際のファールをホームランと判定されて敗れています。そういうこともあり得ます。
それでもあえて大阪桐蔭を倒す可能性を探るなら、私個人的な意見ですが、好投手が大阪桐蔭打線を抑えて打線がワンチャンスを生かして逃げ切ってしまうような試合。例えば、彦根東高校のM投手の投球は非常に球離れが遅く、球にスピンがかかっているため初速と終速の差が小さいため打ちにくいストレートを投げます。選抜の花巻東戦では9回完了時点でノーヒットピッチング。こういう投手にかかるとなかなか大阪桐蔭も打ち崩すのは難しいでしょう。このM投手はプロ野球のスカウトも絶賛していてドラフト候補なのですが本人は京都大学に行くって言っています。大谷の2刀流もすごいですけど勉強と野球の2刀流もすごいですよね。その他では、明徳義塾のI投手もその可能性はあるかなと思います。
選抜に出ていない高校では、埼玉栄高校のY投手はダルビッシュ2世として前評判は高いです。監督が元東北高校でダルビッシュがいた時の若生監督なのでそう言われている節がありますがM投手同様の伸びるストレートを持っていてこちらは球速も150キロを超えてきます。ただし埼玉は激戦区なので甲子園に出れるかが問題ですが。
もう一つの可能性としては神がかり的に打ちまくるチームでしょうか?選抜でも猛打を爆発させた智辯和歌山高校や、お父さんがコンゴ人のハーフ強打者M君を要する横浜高校や、いつの時代も波に乗ると打ちまくって打線が止まらないドラフト候補の強打者N君擁する早稲田実業のような高校かなと思います。
では、岐阜県の高校野球はどうでしょうか?岐阜県の昨年秋の大会は優勝中京学院大中京、準優勝大垣西、3位岐阜各務野、4位市岐阜商。今年の春の大会は優勝中京学院大中京、準優勝帝京大可児、3位県岐阜商、4位関商工でした。公立高校が結構上位に進出していますがやはり中京学院大中京や大垣日大の壁は大きくどうしても実力の差は否めません。中京学院大中京はベンチ入りメンバーの半数以上が岐阜県外でU15日本代表選手が数人所属しています。大垣日大はベンチ入り20人中15人が県外選手です。今春の大会で準優勝に躍進した帝京大可児高校は、20人中18人が県外の選手でした。公立の高校では、特に岐阜県では岐阜県での生活実態のある子しか入学出来ない為県外の有力選手を入学することはできません。さらに受験があるため全く勉強が出来ないようでは入学出来ません。
となると鍛えるしかないですよね。甲子園で上位進出するような、毎年のように出場するような高校は今はほとんど私立なので主流はスカウティングです。大阪桐蔭の西谷監督は優秀な指導者ではなく優秀なスカウトマンだと言われています。では、実際鍛えて対抗できるのかということです。一つ言えるのは、結局、練習量は嘘をつかないということです。
昨年末に県岐阜商の監督が鍛冶舎監督になることになりました。決まってから選手は指示されたメニューをこなしてひと冬超えました。今年の春季大会全試合見ましたが明らかにバッティングが変わっています。やはり練習方法もですが、練習量の差ではないでしょうか?今年の夏、可能性はあると思います。鍛冶舎監督は中京が70%の出来でうちが100%の出来だったら可能性はある。と言っていましたが、間違いなく狙っていると思います。
先日、練習試合で昨年の西東京代表で甲子園でベスト4に入った東海大菅生高校に4-1で勝ちました。春季大会で一皮むけたエースF君が9回完投し1失点に抑えたそうです。ちょっと楽しみですね。
以上で私の卓話を終わります。ご静聴有難うございました。